10月12日から公演が始まる「はばたけ黄金の翼よ」
小柳先生が「名作の再演にかける想い」で語っておられたこと、原作漫画「風のゆくえ」の最初の場面、ちょっと知っておくと更に楽しめると思います
小柳先生のお話
-初演作品について-
シンプル
役者の力で魅せている
「間」があってそれが生徒の魅力を出している
-原作漫画について-
男女関係の複雑さ、中世の時代、女性が道具でしかない中で自分の道を切り開こうとする女性の姿、それを面白いと思う男性の個性
-今回の作品について-
宝塚らしいゆったりした感じと原作の持っている現代的な面白さの融合が出来たらいいな。
初演の名場面とキャラクターは残して、さらに原作の漫画と半々に合わせてますが、今回のメンバーに合わせているという感じです。
-原作漫画「風のゆくえ」作 粕谷紀子-
クラリーチェ・デル・カンポ (真彩希帆)
ポルツァーノ国の領主カンポ公の娘
クラリーチェは、カンポ公の愛人の子として生まれる。母と二人で暮らしていたが、母が亡くなるとすぐ尼僧院(聖カタリナ尼僧院)に入れられる。いちども会ったことのない父・カンポ公の命令である。
尼僧院・・・結婚もせず、赤ちゃんも産まず死ぬまで高い塀の中で暮らし、皆、親の都合で一生女だけの世界に閉じ込められたと諦めてしまう。
気が強いクラリーチェは、母の言葉「あなたの人生はあなたのもの。あなたの手で掴み取るもの」という言葉を胸に尼僧院を抜け出してしまう。父であるカンポ公が殺された夜のことであった。
真夜中に荒野を一人歩くクラリーチェ。
その姿を見ていた人物がいた ヴィットリオ・アラドーロ (望海 風斗)
霧の中、十字路で迷うクラリーチェ
十字路に立てば未来が見えると信じ、未来を見せてと願う。
霧の十字路で2人が出会う場面
霧の中から現れたヴィットリオが「未来」に見えたクラリーチェ。
ヴィットリオに声をかけられ我に返り
カンポ宮殿へ行きどうしても会いたい人がいる、街はどの方向かと尋ねる。
ヴィットリオに相手にされない上に、服装から尼僧院から逃げてきたとバレてしまい、その理由を聞かれる。
ク:自分が決めた道ではないから
ヴィ:父親の決めた道に従うのが娘のつとめだろう
顔を見たこともない父親の?
おかあさまと結婚すらしなかった男の?
おかあさまを一人ぼっちで死なせた男の?
そんな男の命令に従えると思って?
死者が読み上げる紙切れ1つで私の一生が決まってしまうなんて
わたしの道はわたしが決めるの
おかあさまのようにはなりたくない
では、お前の決めた道とはどんな道だ?
人並みに結婚して男に守られて暮らしたいか?
男の人はきらいだって言ったでしょ
男を知りもしないくせに
そういってクラリーチェを抱え、尼僧院へと馬を走らせる。
はなしてと暴れるが、胸も腕もびくともしない強さのヴィットリオ・・・。
尼僧院に連れ戻されたクラリーチェは、尼僧院長から父・カンポ公が暗殺されたと聞かされる。
母の一生をめちゃくちゃにし、一度もあってもくれなかった父親を憎んでいるのに、死んだと聞かされ涙がでるのはどうしてなのか・・。
生きているうちに母を愛していたか聞きたくて尼僧院を抜け出したのに、もう確かめるすべもないと諦めた矢先、カンポ宮殿から使者がやってくる。
美しい衣装に着替え支度を整え、アラドーロ公の花嫁となることを知らされる。
花嫁?尼僧になるのでは?だれがいつのまに そんなこと決めたの?わたしの運命を握っているのはだれ?
カンポ宮殿、初めて見る父の館
館にはジュリオ(永久輝 せあ)という兄が待っていた。
館から眺めるボルツァーノの街、アラドーロ軍に取り囲まれている。
アラドーロ家は、カンポ家の娘を引き渡すなら軍を引くと約束した。
国を守るため、カンポ家を守るために力を貸してくれと頼む兄。
わたしはカンポ家の娘でしょうか。いちどもお父様の腕に抱かれたことがありません。おかあさまは妻と呼ばれることもなく14年間待ち続けてひとりぼっちで死にました。それなのに、こんな時だけカンポ家の娘と呼ばれるなんて・・。
ジュリオは父カンポ公が生前、クラリーチェの母のことをいつも気にかけていたと話す。生涯かけて愛する女はクラリーチェの母ただひとりだと。
自分は2人が愛し合って生まれた娘だと分かり、安堵するクラリーチェ。
国一番の剣の腕前のカンポ公を一刀のもとに倒せるのはヴィットリオ。国と家を守るためには、ヴィットリオの妻になるしか道がない・・・。
兄が決めたこと。従うしかない。
ー女はいつも決められた道に従うだけでございますからね。いやだなんて言えやしない。行けと言われたら行くしかありません。どんな憎い かたき のところへでもー
ばあやの言葉に かたき を打つチャンスがあるかも知れないと気が付き、アラドーロ公のもと・湖の国(イル・ラーゴ)へ向かう。
カンポ公は不在で身の回りの世話をするシントラ(舞咲りん)が出迎えた。
湖の真ん中にあるに城、簡単に逃げ出すことができない。もし かたき を打てたとしてもそのあとは・・・。死への恐怖と生きたいと強く願う心、泣き疲れて寝てしまう。
深夜、慌ただしく帰ってきたヴィットリオ。
クラリーチェはヴィットリオは年老いた恐ろしい人だと思っていたが、霧の十字路で会った人だと知り混乱する。さらに出会った時は、父カンポ公を手にかけた直後だった事にもショックを受ける。
◇◇◇
原作漫画、なかなか面白い作品です。
マントヒヒや豚は、漫画には無く初演で足されたものだったんですね。今回はどのようになるのか、楽しみ。
気になる劇中歌ですが、新曲もあり、初演の曲もちゃんと使われるようです。